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【北海道バイク旅 vol.5】目指すは屈斜路!雨×風×霧の知床横断道 by BON
2025.07.17▶前回の記事はこちら
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穏やかな1日の始まり
5日目の朝は、穏やかで最高の朝だった。
朝ごはんは、前夜の余りで再びホットサンド。
珈琲をプレスして、コレがまた至福の時間となり、期待を込めて出発...するまで二時間ほどキャンプ場の時間を満喫した。
この日はいよいよ知床から羅臼への横断。
バイクツーリングとしてはメインとしていたルート。
クリオネキャンプ場からの眺めだと知床連山には雲がかかっていたのだが、予報は悪く無い。
素早く片付けて出発する事にした。
オシンコシンの滝での出会い
知床横断道へ向けて期待を胸に走っていると、"オシンコシンの滝"の看板を見つけて立ち寄った。
観光地としては有名なのか知らなかったが、アイヌ語で「オ シュンク ウシ(川下にエゾマツが群生する土地)」といわれる落差約30m、幅約30mの滝。
なんだかよくわからないがアイヌ語ってだけで興味がわいてしまう。
ここでは、前日にクリオネキャンプ場で隣に居た方とタイミング良く再会した。
「ここまでずっと一人で走っているんですが、良かったら横断道一緒に走りませんか?」と、声をかけたら「いいよ!そんなにスピード出さないけど」と、CB1100に250ccのバイクが付いて行く事に。
そして、横断道に入った瞬間から今回の旅の中で一番ハードな時間が始まる。
雨風吹きすさぶ知床横断道
まず、この知床横断道では景色や温泉、ヒグマを期待していた。
しかし、走っているうちにガスと雨が急に降り始め、高度をかせぐ気温の低下と風が強まり、展望パーキングで一旦停車。
先導してくれていたCB1100の方が「どうする?引きかえす?」と聞いてくれたのだが、戻ったとて…のスケジュール。
「自分は行きます...」と伝えようとしたら、CB1100の方も「俺はこのまま行くわ!」と。
「無理なくお互いマイペースで」と伝えて、羅臼の方へ下る事を決意した。
写真も撮る余裕なんてないほど寒くて、レインもブーツもびしょ濡れになりながら何とか視界が確保出来る場所まで無事に走りきった。
ビジターセンターに立ち寄って、濡れたレインやグローブを外し、中に少し着るものを追加。グローブにもインナーを追加した。
身体を温めて早く出発するために屋根がある場所で登山用のゲイターを装着していたところ、施設の方より移動を促されたため、その場に避難していたライダー4人とも直ぐに移動する事となった。
どこまで走れば屋根のある場所に辿り着くのか・・・。
気付けば羅臼町まで下り、更に雨と風に見舞われた。
結論から言えば、結局屋根など見つからなかったが、少なくとも霧は無くなり、気温も上がってきた。
なんとか寒さは凌げたので、このまま次の目的地「野付半島"トドワラ"」を目指すことに。
過酷な道のりはつづく
野付半島に向かう最中は更なる問題が発生。
とにかく風がこの旅で一番の勢いで吹いていた。
バイクは傾けながら走行していたが、急な突風では反対車線に押し出されそうな勢いだった。
とにかく緊張感と雨のコラボで心折れかけたが、何とかトドワラまで辿り着けた。
顔が、、、済んでますが・・・。
とにかく風をかわせるこの建物で少し休憩。
たどり着けたぞ!という証として、再び暴風雨の中DANG SNOWを装着して。
「無事に」というのは結果的にだが、無事に野付半島を脱出し、次に向かうはこの日のキャンプ地になる"屈斜路湖"。
約二時間弱のルートを雨の中、走り続ける事に。
視界は良好なのだが風と雨で寒さが染みる。
途中立ち寄ったセコマで店員さんに「すみません、ちょっとゆっくりさせてもらってよいですか?」と聞くと「今日は天気予報外れましたね。気にせずごゆっくり」と優しい言葉を返してくれた。
それに加えて「どこから来られたのですか?」との問いに、どこからと聞かれたら岡山なのだが、どう答えて良いのかわからないほど身体が冷えていて「天気予報外れて、知床横断から、とにかくずぶ濡れになって、もう宿を探そうかと思っています。」と、なんとか答えたのが今の記憶。
「それが良いですよ!」と言ってくれたので、その場で宿を探す事にした。
内地に向かうにつれて気温は少し暖かく感じたが、標高も少し稼いでしまうため、無理なく休憩を挟みながら進んだ。
予約した宿に到着する頃には、雨もあがり気温も心地良いくらいの肌感だった。
屈斜路のユートピア
"屈斜路原野ユースゲストハウス"。
屈斜路湖が微かに望める場所ながら、ゲストハウス内はどこか落ち着く雰囲気。
フリースペースは自由に使えて、建物内にある温泉も24時間利用できる。
フリースペースから見える景色が気持ちを豊かにしてくれた。
一旦チェックインして、10km離れたセコマに買い出しへ。
本当はここで食事もしたかったのだけど、ある程度、自分の中でのルールを決めていたこの旅。
チェックインの時にオーナー様が言ってた「持ち込みも大丈夫ですから」の言葉に甘えて、UL弁当の“野菜たっぷり親子丼"にオリジナルブレンドの毛沢東スパイスを加え、初めて見る札幌クラシックの北海道限定ビール。
他のお客様の邪魔にならない様に自分の時間をしっかりと確保していましたが、意外にも自分に興味を持ってくださった隣に座っていたご年配のお二方。
それぞれ別の目的で宿泊されたというお二方に沢山会話をしていただきながら、気付けばなかなか良い時間になっていました。
記憶では22時半には消灯だったはずが、その後も灯りはついていたのだが、自分も限界を迎えて部屋で眠りについた...。
つづく
ライタープロフィール
名前:赤木 "BON" 一聡
DANGサポートフォトグラファー。
INSTA:@hvtbon